2019国際ロボット展レポート
去る2019年12月18日(水)~21日(土)、弊社は東京ビックサイトにて開催された世界最大級となるロボット関連の展示会「2019 国際ロボット展」に出展いたしました。開催期間中は、多くの皆様にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。
こちらでは、今回の展示内容、ご来場者様のニーズ傾向、ご相談いただいた課題に対する弊社の見解などを、レポート形式でご紹介します。なお、展示内容に関するご不明点や、個別相談などのご用命がございましたら、お気軽にお問い合せください。
今回の展示内容
これまで弊社は、自動車業界のお客様を中心に、CFRPに関わる試作開発サービスを提供して参りました。昨今、CFRPは原材料費の低価格化や成形技術の向上もあり、様々な業界において幅広くご検討頂けるような材料になって参りました。
そこで、今回の出展では、自動車業界のお客様のみならず、ロボット関連業界をはじめCFRPの活用を検討される幅広い分野のお客様を対象として、CFRPの基本的な特性や、開発試作のポイントを多くの方々に紹介させて頂き、大変なご好評を頂きました。
ご来場者様のニーズ傾向
今回は、これまで以上に様々な業種・分野の方からのお声がけやご相談をいただき、その中でも「CFRPは良い素材だと知っているが、遠い存在」といった声が最も多く見受けられました。
いただいた声の一例:
- 社内にCFRP製品の開発経験者がおらず、知見がない。CFRPは高い材料特性を持つという認識はあるが、費用や納期などは未知数で、結局手を出さなかった。
- 過去に検討したが、予算が合わずに具体的な設計以前にプロジェクトが頓挫してしまった。どういった案件が適しているのかを知りたい。
- 過去に樹脂や金属と同じ感覚で設計を行い、成形をお願いしたことがある。しかし、想定した性能が出ずに開発が止まってしまっている。
ご相談いただいた課題に対する弊社の見解(一例)
複数のお客様から寄せられた、より具体的な課題内容と、それに対する弊社の見解についてご紹介します。
課題:耐候性への対応
軽量化を求められている製品があり、CFRP素材の採用を検討している。しかし、CFRPには「耐候性」に難があるという話を聞いており、それらに対応する知見もないため、プロジェクトの実施になかなか踏み切れていない。
弊社見解
CFRPの強化材である炭素繊維は、金属のように腐食することもなく、環境変化による物性への影響がほぼ無い、極めて安定した物性を有する素材です。
耐候性が議論されるのはマトリックス樹脂ですが、代表的なマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂は、酸素や水分の透過性が低く、多くの化学物質に対して耐性をもった腐食しにくい素材で、一般的にはむしろ「耐候性に優れる」素材とされています。もちろん樹脂ですから、金属やセラミックのような耐熱性はありませんが、仕様温度域に合わせて適切な樹脂の種類を選定すれば、350℃くらいまでの使用には耐えることができます。
よく言われるのは、紫外線に対して樹脂が変質、劣化することですが、CFRPは炭素繊維が光を通さないため、ダメージを受けるのは表層数ミクロンに限定されており、物性面ではCFRPが紫外線の影響を受けることは実質的には無いと言えます。ただし、CFRPの意匠性、すなわち見た目の恰好良さを商品価値とする場合、紫外線による表面の樹脂の日焼けは商品価値の劣化と言えます。このような場合には、樹脂に紫外線劣化を防止する添加物を配合する、CFRP表面にUVカット層を被覆するなどの対策を講じることができます。
耐候性と一言で言っても、様々な条件がありますが、テックラボでは、製品の使用環境と要求仕様に合致するよう、対処して参りますので、ご相談ください。
課題:材料の変更―機械的特性の獲得
過去に金属からCFRPへの置き換えを実施したことがある。対象となったのは、シンプルな形状の構造材であり、シミュレーションの段階では設計上の問題は発生しないはずであった。しかし、実際に出来上がった完成品は、使用中の負荷に耐え切れず、予期しない「変形」が生じてしまった。
弊社見解
CFRPは様々な材料特性を持っており、特に”異方性”※については注意が必要です。金属の場合では問題のない条件設定であっても、CFRPの場合は、想定される負荷の「方向」までを理解しないと、思うような機械的特性は得られません。よって、シミュレーションを行う段階でも、CFRPを積層後の塊としてみるのではなく、1シート(1積層、1ply)ごとで捉え、それらの前提でも解析や設計を行い、要件を満たせるかどうかの検討を行うことが重要です。弊社では、CFRPをはじめとするさまざまなコンポジット材料の特性を理解した立場から、お客様のニーズや実際の用途を汲み取り、最適なご提案を行っております。
※異方性…負荷がかかる方向によって材料特性が変わること
テックラボのサービス領域
弊社では自動車のみならずCFRPを用いた試作、製品開発プロジェクトを積極的にご支援しております。
CFRPは材料特性や成形方法が金属や樹脂と大きく違うため、設計には専門性の高い知識とノウハウが必要になることが多々あります。単純な構造材であっても、熱膨張や異方性への注意が必要な場合や、他部材との締結方法の再検討を要する事例などもございます。
CFRPの製品開発が「検討止まりであった」、「試作品で成果が得られなかった」という声はよくありますが、それらには必ず原因があり、ほとんどの場合は改善ができるものです。弊社では単なる加工にとどまらず、”お客様のプロジェクトの成功”という最終ゴールにむけて、設計、開発をご支援し、製作を行ってまいります。(構想段階から製作までの事例をご覧いただけます)
図面のない構想段階でも、まずはお気軽にお声がけ下さい。
設計前のアイデアから加工依頼、開発依頼までお気軽にお問合せ下さい
要件が定まっていない不確定要素の多いプロジェクト、設計難度が高い案件、お任せ下さい。
現場担当者、プロジェクト責任者皆さまがご納得いただけるプラン・成果をご用意致します。